珈琲をもう一杯/第五話「酸いも苦いも」
お客さんから「モカが好きなの」とか「いつもブラジルを飲んでいる」等々言われるのですが
、どの位の焙煎度合ですか?と、聞くと。
みなさん口を揃えて「えっ、??」
コーヒーは銘柄による味の違いよりも、焙煎度合による違いの方が大きいと思います。
日本では大まかに浅煎り、中煎り、中深煎り、深煎りの4段階、更に細分化すると8段階あって、豆に含まれる酸が焙煎に伴う化学反応で消失しながら他の成分に変化していきます。
大雑把に表現すると、浅煎りではまだ酸が沢山残り酸っぱいフレッシュ、中煎りは軽い酸味+優しい苦味でマイルド、中深煎りは軽い苦甘味のビター、そして、深煎りはやや重めの苦甘味のダークって感じ。
風味を例えれば焙煎度合の浅い方から花、果物、香草、中煎りでは、ナッツ、カラメル、深煎りでチョコレート、樹脂、スパイス系って具合です。
最近のコーヒーと言うかカフェブームの中では酸味の評価に主向きが置かれ深煎りが敬遠傾向にあるようですが、深く煎る事で表現される苦味の中にある味わいは珈琲ならではのものです。
これからコーヒー好きになる人達、特に若い方達が、浅煎りや中煎りだけで満足することなく深煎りにもチャレンジしてコーヒーの奥深さに、いや、深煎りの奥深さにハマって欲しいなぁと思うのです。
先日、お客さんに上記の様な事を話したら、
「珈琲は苦味を愉しむものです。」とバッサリ。 若者よ、酸も甘いもいいけれどホロ苦い思いもしないと。
あれ、恋愛話でしたっけ?