LIFE,  TRIP

キング アーサーのここだけの話
奢りで傲ったか

ゲームに勝利するとトイレに行き、戻ってくると挑戦者の奢りでビールをオーダーする。

その繰り返しだったが、ついにはゲームの途中でもトイレへと立つようになった。

「NO MORE BEER」男はトイレから戻るなり言った。

そう言葉をもらしたゲームは男のボール運びに粗さが目立ち、加えて対戦相手が下手すぎたので長引いた。

トイレ休憩で何度も中断したゲームだったが、結果は日本人ぽい男の負けだった。

100ドル札は50枚くらい積み上がっていたかもしれない。

 

当時のレートは、1ドル25バーツ。

俺の泊まっているゲストハウスは無駄にもベッドが2つもある個室で、1泊100バーツ。

このバーの上階にある小綺麗なゲストハウスでも、250バーツも払えばエアコン付きのツインルームに泊まれる。

仮に100ドル札が50枚あったとするならば、500日も滞在できたはずだ。

そんな大金が手に入るはずだったのに、男は酔いすぎたばかりに一瞬にして富を失った。

 

続く

次回の話/ニコール・ロス

前回の話/ギャンブルの神はいずこへ

キング・カズと生年月日が一緒の1967年2月26日生まれ。外人は<アサタロー>と発音しにくいらしいので、海外では<アーサー>と名乗っていたら、親しい外人仲間が<キング・アーサー>とニックネームをつけてくれた。「アサタロウ」と日本で名乗ると「アソウ・タロウ?」と聞き間違いされることが多々ある。彼が幹事長のときは俺に<カンジチョー>のあだ名がつき、総理大臣になると<ソーリ>と呼ばれるようになったが、彼の総理大臣辞任後も俺の格下げはなく、いまでも<ソーリ>のあだ名は定着している。本業はコーディネーター。