キング アーサーのここだけの話
盗品の市場
2人を乗せたトゥクトゥクは、2人にまったく縁のない金商、パール商、宝石商を経由し、やっと最初の目的地であるナコーン・カーセムにたどり着いた。
広い市場だが、シンさんが言うには、ここで売っているのはすべて盗品だという。
でも俺からすれば売り物には見えず、盗品でもなく廃品だ。
使いかけのシャンプー、片方だけのビーチサンダル、洗濯していない下着。
刃物で切りつけた跡が残るバッグまで並んでいる。
きっと中身もこの市場のどこかに並んでいるに違いないが、それもきっとロクでもないモノばかりだろう。
そんなゴミだらけの市場で、俺はついに俺のバックパックの欠片を見つけた。
膨らんでいたから中身はバラされていないようだった。
「シンさん、あれだよ」俺は囁いた。
「いくらなのか聞いてみようや」シンさんはやけに面白がっている。
「確かに。どのくらいの価値があるか知りたい」と応えると、シンさんは笑いながら店員に声をかけた。
続く