〈中華鍋の逆襲〉 炒める 其の三
グルグル回るショートトラックの選手が如き野菜達を時折裏返す、
看守のような中華おたまであらかた野菜に火が入ったら、
いよいよ味付けです。
塩、醤油、ナンプラー、味噌、お好みで味付けしていきます。
手早くを念頭に置きつつ、野菜を一つとって味見をしてみましょう。
モタモタしていると焦げたり、火が入り過ぎたりですので、できるだけ手早く。
そして仕上げに料理酒です。
日本酒、焼酎、紹興酒、ウイスキーにワインを鍋肌にふってひと回ししたら完成です。
すぐさま鍋からお皿に写してください。
仕上げの料理酒ですが、酒類によって香りも違っていろいろ楽しめますが、
ワインやウイスキーは独特の酸味や香りがありますのでまずは日本酒、焼酎辺りで
初めてみてください。
また、あまりアルコール度数の高いものは鍋から火が出る、
「フランベ」という状態になります。
手慣れた手つきで「フランベ」したらあの子のハートもがっちりキャッチですが、
予想してない「フランベ」でビックリしてオタオタしようものなら、
あの子のハートも、あなたの眉毛も、ちりっちりになって消えていくことでしょう。
まずはアルコール度数の低いものを使ってください。
また、お酒はアルコールを飛ばす為に鍋肌にかけていますが、
醤油などの調味料は鍋肌にはかけないでください。
焦げますから。
良くお料理番組などで「鍋肌に」というのは醤油の焦げた香りがほしいのと、
チャーハンなどをベタつかせない為です。
今回は野菜炒めなので鍋肌はお酒類だけにしてください。
さて盛り付けです。
盛り方はいろいろありますが、せっかく手早くシャキッと炒めたのですから、
シャキッと見えるように盛りましょう。
皿の中央に山を作るように盛り上げます。
鍋を傾け、お玉ですくい、真ん中へ真ん中へと山を積み上げるように盛って、
調味料、酒でできた汁も皿の上で鍋を傾けて全て盛り付けましょう。