若気ノイタリーの回顧録 ケープタウンの前衛的アウトドア屋 「Just Like Papa」
世界を旅するフォトグラファーが手がける気鋭店
ON THE HILL読者の皆さんと同様、僕も旅先でもアウトドアショップを探してしまう癖があるので、ケープタウンにある店を一通り回ってみた。
南アフリカもネットショップで欲しいものが注文できる時代だからかそんなにアウトドア屋の数はないのだが、中心街には大型の総合アウトドアショップもあるので、ハイキング、キャンプ、マリンスポーツ、バイク、釣りの道具なら困ることはなさそうだった。
そんな中一番僕の琴線を揺さぶったのが、今回紹介するお店「Just Like Papa」。
店名を直訳すると「パパのように」となるので、なんだか優しそうなでファミリー向けの店が連想されるが、その実態は真逆で相当ハードコアな店なのだ。
ここのパパ像は、壊れたバイクもガレージで自分で直して、誰にも頼らず自然で生きていけるような、子供から尊敬される屈強なオヤジ。
まず店に入っって驚くのはイメージの打ち出し方。店の外壁も真っ黒だし、店の中も真っ黒。こんなアウトドア屋をみたことがなかったので、感動というかショックを受けた。
これは誰かに伝えなければと思い、掲載する媒体のアテもないのにその場で取材依頼をして写真を撮らせてもらった。一年越しになってしまったが、ここに掲載することで陽の目を見たのを嬉しく思う。
コンセプチュアルなのは内観だけでなく、その品揃え。決して多品種で数多くのものがあるという訳ではないが、マウンテンバイクとキャンプ、ハイキングにフォーカスし、深く強くレコメンド出来るものだけを販売している。
品物の見せ方に男らしい色気があり、とても魅力的だ。
オーナーは世界中を旅しながら作品を撮っているフォトグラファーらしく、壁には彼の撮った写真も掲げられている。それらが一層世界観に深みを出しているように感じた。
また、アダルトな雰囲気を醸し出す要素の1つは店内の奥にあるバーカウンター。お客さんはここに座り、スタッフと相談しながら買い物ができるというわけ。
ケープタウン周辺はワインでも有名で、最近ではジンの蒸留所も増えている。ここでローカルの味に触れることも出来るのだ。
SFの世界に迷い込んだような……
真っ暗な壁に沿うようにL字に設置された建て付けの什器はミッドセンチュリーのような感じも受けるし、最先端な感じもする。
商品も繊細なバランスで並べられていて、こう言っては失礼だが南アフリカらしからぬ上品さがある。
続いて気になったのは、何やら見たことのないマウンテンバイク。「Stealth Electric Bikes」というオーストラリアの電動自転車メーカーのもので、ここが南アフリカ唯一のディーラーとなっているのだという。これでケープタウンのシンボルであるテーブルマウンテンにだって登れてしまうから驚き。
価格は10万円ちょっとから買えるようなので、意外と手の届かない存在でもない。
自転車の隣には、オフロードバイク用のギアを展開する南アフリカのメーカー「Leatt」のアイテムが並ぶ棚も。世界でも注目が集まっているメーカーで、カーボン製の軽量なヘルメットが特に人気だとか。カラーリングがイカしてる。
無機質な空間に並ぶ外遊び道具
キャンピング用品は軽量なものが多く、火器やクッカーは「MSR」や「JET BOIL」「Prims」などが中心。テントやスリーピングバッグ、コットなどが一通り揃っていた。
南アフリカのブランドでいうと「Rogue Ice Coolers」(写真がないのが残念)のクーラーボックスも取り扱っている。プレミアム・アウトドアショップと謳うだけあり、ハイレンジなアイテムを販売しているのだ。
ケープタウンのブランドもフォロー
アパレルはアウトドアブランドというよりカジュアルがメイン。デニムで有名なアメリカの「Tellason」やローカルの「Real + Simple」、のちに記事を書こうと思うが、ケープタウンのブランド「Frontier Provisions」のウェアもあった。
ケープタウン産のオーガニックな素材のみから作られたグルーミンググッズブランド「Bonafire Beards」も。
何から何までシブい。こんな店があるのだから、南アフリカを掘れば日本人が知らないものがもっとあるのではないか? この国の可能性を感じさせられた取材だった。
Information
Just Like PaPa
Address:73 Harrington St, Zonnebloem, Cape Town , South Africa
Tel:+27 87 470 0186
Web:https://www.justlikepapa.com/
Instagram:@justlikepapa