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若気ノイタリーの回顧録 アフリカ最大の動物保護区で自走サファリ旅 -3

宿泊場所どうするか問題

初めての自走サファリに興奮してドライブをしていた僕だけれど、一方でずっと気がかりなことがあった。それは宿泊地。14:30の入園時点ですら決めていなかったけれど、いよいよ18:30までにどこかの宿泊場所にチェックインして泊まらなければならない。

問題を後回しにするタイプの僕も、いい加減電波が届くうちに調べなければと思い16時頃になって宿を検索。その時初めて目星をつけていた宿がことごとく公園外であることに気がついた。

公園外は比較的安価でリゾートヴィラ風なものが多かったが、一度公園外に出ると買ったチケットが無効になるんじゃないか? という不安もあったので、高めだけど公園内のコテージに泊まることにした。

その目的地「クロコダイル・ブリッジ・レスト・キャンプ」は80Km先で、制限速度で考えると動物を眺めてゆっくり移動してられないということが判明。天気も曇ってて写真も映えないし、珍しくなさそうな動物はスルーして先を急ぐことになった。

未舗装道路を走っていると、余裕で車2台がすれ違える道幅よりさらに長い、そして図太い大蛇が横切っていったり、猿っぽいものが木に潜んでいたりしたが、ことごとくシャッターチャンスを逃した。

窓を開け、鳥のさせずりと車の走行音をBGMにしてドライブしていると、今度はスルーできなさそうな巨大な動物が現れる。

長い脚と長い首を持つことでおなじみのキリン。文明人の僕からすれば、動物園の人気者が柵に囲われていない大自然にいたので不思議な感じがしたが、この時その感覚自体が異常なんだなと気がついたりもした。

カルチャーショックはまだ続く。

だんだんと空が暗くなって来てパークゲートが閉まる時間が近づいてくると、車とすれ違うことがめっきり無くなった。少し不安になってアクセルを踏む足に力が入って来たその頃、前に人の姿が見えて来たのだ。

 

ピックアップの荷台に迷彩服を着た人が2人。その先にはライフルらしきものを持って歩いている人がいる……。

僕の英語力が足りないので詳しくはわからないものの、のちに調べたところ、規則に従っていれば公園内でも狩猟は合法らしい。しかし、そんなことも知らない当時の僕は、これが密猟者か!?とギョッとして凍りついた。

たまに海外のニュースを見ていると密猟の話が出てくるので、こんなところで遭遇してしまったかと(笑)。

どうやらハンティングは地域の重要な産業の1つで、高値で取引されていているトロフィーのために狩り、巡り巡って動物保護にも一部そのお金が入る(場合もある)そう。

とはいえ、調べたら密猟も多いのも事実で、例えばサイのツノはアジアで伝統薬の材料として使われるため、密猟件数がこの10年は激増。WWFの報告によれば、ピーク時より減少したもののクルーガー国立公園内だけでも2018年には421頭が密猟されたとの事。平均したら1日一頭以上のサイが密猟されていることになる。

しかしそんな事情はつゆ知らず。

もしかしたら「目撃者を始末しろ! 」ってなことで撃たれるかもしれない。そう思って、しれっとハンターたちの脇を通り抜けた後は、一目散にキャンプまでアクセルを踏み続けた。

 

サファリでの初めての夜。

宿泊地のあるキャンプ(レストエリアや売店、コテージやキャンプ場のあるところ)についたのは、すでに18時を回ったところ。規定の時間にはなんとか間に合ったけれど、果たして予約なしでも泊まれるのか……?

受付に行きたどたどしい英語で1泊したいと告げると、何個かだけバンガローに空きがあったので、運よく泊まることができた。

こればバンガローの外観。茅葺き屋根のキュートなもので、外にファイヤープレイスとベランダがある。価格は1660ランドなので日本円で10000円程度。南アフリカにしてはいい値段してるんじゃないだろうか?

部屋の中はシングルベットが3つとシャワーと炊事場。

せっかくだから豪華な食事を取りたかったけれど、売店に売っているものは限られていたし、何より売店に入店したときには閉店時間になっていて物色する暇さえなかった。なのでサンドイッチやおつまみを買ってその日は終了。

チーズやビルトン(南アフリカのビーフジャーキー)を齧りつつ、アップルサイダーを楽しんだ。

 

南半球なのでおとづれた一月半ばは夏の初め。虫やカエルの鳴き声がそこら中から聞こえてくるけど、ベランダにいても意外と虫は寄ってこなかった。

動物は朝と夕方が活発に動いているらしいと聞いたので、その日は夜更かしせずにベッドに滑り込んだ。よくよく考えたら早朝にケープタウンを出て飛行機に乗り、長時間ドライブしっぱなしだった……。

 

つづく

【次回】2日目はサバンナをひたすらドライブ。

問題:次の日鈴木が朝一番に出会った百獣の王はなんでしょう?(答えじゃん)

アウトドアライフスタイルマガジン「HUNT」の創刊から編集者として携わりフリーランスに転身。現在はワーキングホリデーで海外に住みながらパートタイムで日銭を稼ぎ、英語を練習し、現地で見つけた面白いものを取材して雑誌やwebマガジンで紹介中。