珈琲をもう一杯/第一話「道を踏み外して、珈琲屋」
と、書くと同業の方々に失礼になりますが、僕にすれば長い間の会社員生活から外に飛び出したってだけの事で、まあ、インドアからアウトドアへ、って感覚に近いのです。
僕の珈琲事始めは……。
20歳くらいの時に銀座の某有名店で飲んだ深煎りの珈琲に感動し、自分で豆を買って淹れ始めたというのがそれ。
僕にとってのファーストウェーブ(熱中波)。
その後、仕事が忙しくなったり、転勤があったり。
コーヒー熱は醒めたのですが、転勤先の鹿児島で、またまた深煎りの珈琲に感動。
天文館近くにあるお店でね。
それが、セカンドウェーブ。
その後は、東京へ戻り、再び仕事に追われてしまい、珈琲をカンフル剤的な飲み方しかしない日々。
「これではイカン!」と、抽出とか焙煎に凝り始めのがサードウェーブ。
その熱中波を引きずり、あろうことか会社を辞めてしまい、坂道をゴロゴロと転がり、脇道にそれたのが第四の波。
今は第四の波、真っ只中。
珈琲は、焙煎なり抽出なり、やればやる程奥が深い。
歳がいってから始めた僕には、どこまでやれるか分からないのですが、まあ、しぶとくやるしかないですね。
会社を辞め、珈琲屋を始めた旨を堀田貴之さんにメールしたら、「よくやった。近々に遊びに行く」と返信が。
嬉しかったです。
「堀田さん、遊びでは無く飲みに来てください。
それもキンキンに冷えたビールではなく、コテコテに深く煎った珈琲を!」