LIFE,  TRIP

キング アーサーのここだけの話
泊まる目的

シンさんの言う「ジュライホテルに泊まる目的はひとつ」とは、一体なんのことだろう。

シンさんとニコールは同室に泊まっていたのだから、ジュライがゲイの発展場で、それを目的に泊まっていたということはなさそうだ。

 

少女回春を仲介する場所というのも考えられなくはないが、ニコールがその斡旋された少女か?

ここ数日、ニコールを見なくなったので確かに買った女とも考えられなくはないが、少なくともニコールは未成年ではないだろう。

 

では、単なる売春婦?

そんなこと、考えたくもないし・・・いや、あんなとびきりの美女をバンコク価格で買えるなら、買ってもいいかも。

 

でもなんで外国人がわざわざ物価の安い国にやってきて、自分を安売りしなきゃいけないんだ?

それともニコールは高級売春婦で、シンさんはそれを数日連れまわすことができるくらいお金持ちなのか?

それじゃあ映画、プリティ・ウーマンそのまんまじゃないか。

ありえない、ありえない。

 

俺の妄想は迷宮を1人彷徨い歩いた。

「じゃあ、ジュライに荷物取りに行くか。付き合ったるわ」

シンさんは座り込んでいたカフェの汚い床から、やっと立ち上がった。

 

続く

次回の話/水の都、バンコク

前回の話/腕時計で知る月齢

キング・カズと生年月日が一緒の1967年2月26日生まれ。外人は<アサタロー>と発音しにくいらしいので、海外では<アーサー>と名乗っていたら、親しい外人仲間が<キング・アーサー>とニックネームをつけてくれた。「アサタロウ」と日本で名乗ると「アソウ・タロウ?」と聞き間違いされることが多々ある。彼が幹事長のときは俺に<カンジチョー>のあだ名がつき、総理大臣になると<ソーリ>と呼ばれるようになったが、彼の総理大臣辞任後も俺の格下げはなく、いまでも<ソーリ>のあだ名は定着している。本業はコーディネーター。