まじ手仕事 5 生木を削る シュリンクポットって何?
ここ2年弱はまっているのがグリーンウッドカービング、いわゆる生木の状態で削り出して器やカトラリーを作るという作業だ。
木を削って物を作るというのはかなり前からやっていたが一昨年の秋にスウェーデン大使館で行われたヨッゲ・スンクヴィスト氏のパフォーマンスでシュリンクポット作りを目の当たりにして一気に気持ちをもってかれてしまった。
道具・工法もさることながらパワフルに削るときは速いテンポの音楽(ダフトパンクやケミカルブラザーズ等)に合わせじっくり削るときは静かな音楽(ヨッゲの演奏の曲もあり)をバックに子供時代からの木工への関わりをゆっくり話しながらというメリハリもスピード感もある素晴らしいイベントだった。即ヨッゲの大ファンになったのは言うまでもない。
丸太を玉切りし必要なサイズに割っていきはじめは斧や鉈のような大きな刃物で大体の形を作り次第に鑿や銑、ナイフで削っていく。この「ナイフで」と言うのがポイント。通常日本での木工用で使われるナイフ的な物というと切り出しとか生反りあたりだが刃渡りのさして無い両刃の刃物で広範囲な作業をこなすのがとても新鮮だった。
木を削るときに従来の手道具であれば鑿と木槌でコンコンと削っていき仕上げに近くなると鑿で細かい削りをしていたのだがナイフは凹面以外はかなりの作業が1本で出来てしまう優れものだ。
持ち方・構え方等沢山のコツはあるが台がなくても身体に当てて、脚に乗せて等々身体を使って安定させる、押して切る、引いて切る、など様々な刃の使い方で1本のナイフで多くの工程をこなしている。なるほど納得の知恵のかたまりなのだ。
また、生木は実に柔らかいし逆目も起きにくくとても削りやすい素材だ。荒削りを生のうちにやっておくとヒビや割れを軽減することも出来るし堅木でもスイスイ削れるので作業がとても早いし安全だ。
シュリンクポット作りとなるとこれにさらに生木から段々乾燥材になるにつれて収縮すると言う現象を利用する。 円筒を削り出し下の方に水平に溝を掘り乾燥材の底板を丁度のサイズに削って嵌め乾燥(収縮)を待つという方法だ。
実際底を嵌めて見ているとどんどん収縮して底が外せなくなるのは割とすぐだ。
ヨーロッパの方ではこの方法で昔は器を沢山作っていたそうだ。あまり縁が無いと思ってたがアジアには竹という優れものがあるので切るだけで底のある器が出来る幸運(?)に恵まれ工法を編み出す必要が無かった物と思われる。
それにしても作るときはなかなかなハイペースで大物の場合は連続作業で一気に作っていく。大きさや樹種にも依るが底板を嵌めるまでを1時間半から2時間くらいでやることが多い。
残す厚みを変えたり少しゆっくりしたりもするが伐採時期や樹種、含水率等全てが違うので何となく出来たり何となく違ったり等なかなか思い通りには行かないのだがどんどん数をこなして勘を養うしかなさそうだ。
生木が手に入るとまたすぐ作り始めるんだろうなあ。