まじ手仕事 6 革アタッシェケース
さて、どこで聞きつけたか革のアタッシェケースのオーダーが舞い込んで来た。
いままで作ったことはないし作れるよと公言したこともないので謎に思って訊いたら「多分作れるだろうと思った」とのこと。
そういうことであれば受けて立つしかないのでは?改めて工程を順に整理してみるとやったことのある作業がほとんどなので問題なかろうと正式に受注した。
作るに当たって既製の物を調べることはせず要望を聞き脳内完成イメージを何通りかラフに起こして方向性決定。
モノを作る場合、デザイン・素材・使い勝手・耐久性等々沢山の要素がありどれも疎かには出来ない。自分自身の好みもあるしお客さんの好みも当然ある。各要素に軸足を置いて最高到達点を探るプロセスはとても重要だ。
思い通りに行かないときアーティストとしては押し切るだろう部分も職人としてはついつい合わせてしまうだろう。
アーティストと職人の中間を目指す身としてはさじ加減勝負な最も楽しみでもある工程である。
この時作ったアタッシェケースは見えないところにもワザを繰り出しているがこれはまさに自己満足だけの部分だ。時間はかかってしまうのだがこれはある種の遊びでもあり自分としては比較的重要な要素だったりもする。この「粋」とでも言えそうな部分、大事にしていきたいと思う。
以下製作工程
桐の板、エポキシ樹脂、サドルレザー、ハンドルパーツ、鍵 必要な物を書きだし浅草の革屋や木場の材木屋、浅草橋の付属金物屋等を回って調達。
桐の板を6㎜厚に揃え箱を作り面取りしてカットした後ガラスクロスでくるみエポキシ樹脂で内外を強化。
出来た箱にサドルレザーをウェットフォーム。コーナーの補強のパーツも型入れし成形。場所によっては14㎜ほどにもなる厚みをひと針ずつ縫い進める。
内張を付けてハンドルを縫い立てカンに取り付け横引き錠を取り付け最後に保革油を塗って完成。
グラス+エポキシ。不必要なほどの強度!
サドルレザーを巻きコーナー用補強パーツを付け手縫い開始。
付属と内張を取付て完成