珈琲をもう一杯/第十二話「珈琲を沸かす」
短い文章を書くのにさえ煮詰まってしまう僕ですが、さて。
ほんの昔、ある街にあったアウトドア屋さんでは、訪れると店の厨房でコーヒーを淹れてくれたんです、良い香りを漂わせながら、コポコポと音をたてる器具で。
この時に出合ったのがパーコレーター、ミロと言うメーカーでした。
コーヒーが沸く頃には店内はもう、コーヒーの香りで満たされて、それはもう、珈琲屋さんみたいに。
僕も使い始め、川、海、山、と何時も持ち歩いてました。
箔をつけようと焚き火のそばに置いてすすをつけたりもして。
キャンプでの朝、一番にやるのが焚き火おこしにパーコレーターでの珈琲沸かし、そう、前回、コーヒーを淹れる、点てる、落とすなんて書きましたが、パーコレーターはまさに沸かすです。
沸騰した湯が細い管を上昇し上のバスケットにセットされた粉に降り注ぐ、これを何度も繰り返して、まあ、大体コーヒーらしい色合いになったら火から下ろす。 大雑把ですよね。
でも野外でコーヒーを沸かす自分がなんとも格好良く、開放的な雰囲気と相まって、そう、ローレン、ローレン、ローレン、ローハイ〜、などと口ずさんでいたのです。
パーコレーターはその機能上、沸騰した湯を何度も循環させてコーヒーを出す器具ですから、これに合う豆は、苦味の少ない浅〜中煎りで粗めに挽いた粉を用いるのがポイントです。
そして、粉の分量、ふふ、適当でいいんです。
少なければ色がつくまで時間がかかりますし、多ければ早いですし。
そして、止め時はコーヒーの色で決めれますので、今だって時に火から下ろして下さい。
ええ、だいたいで。
煮詰まっても飲めるコーヒー。
これぞパーコレーターの魅力です。
但し、野外で気持ちの良い景色あってのものですけど。