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ヒツジ飼いの冒険
第31話 対峙

誰にも気づかれないよう音を立てずに歩みを進めるレオナルド。

夢中になると、正悪の判断より、やってみたいことに神経が集中してしまう。

単なる無我夢中ではなく、神経は研ぎ澄まされていた。

 

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なので、遠くからの視線はずっと前から気になっていた。

その視線が轟音とともに近くなってきた。

強い視線はヒツジに乗っていたときのレオナルドの視線より低く、地面に立ったレオナルドの視線より高い位置からのものすごい眼力だった。

 

土埃を上げ、その眼力はレオナルドに最接近した。

 

「どうなってる。どうなってる」

あたりが煙幕のような土埃に包み込まれ、黒い羽の交渉人と赤い羽の交渉人はやっと我に返ることができた。

 

しかし、ときはすでに遅かった。

煙幕に包まれ、レオナルドはさらに歩みを進めることができ、黒い羽の交渉人と赤い羽の交渉人から距離を置くことができた。

 

だが強い眼力の持ち主に、行く手を阻まれた。

その強い眼力の持ち主は交渉人ではないので、レオナルドの言語を理解することはできない。

しかし、そんなことを知るすべもないレオナルドは、強い眼力の持ち主に話しかけた。

「この先に進みたい。王国のすべてを見てみたい。王国から学びたいんだ。

 

強い眼力の持ち主は首を横に振った。

だがそれは、<ノー>という意味ではない。

首を横に振って、あたりを確認していたのだ。

首を高く、そして長く伸ばし、交渉人たちを探していた。

強い眼力の持ち主はレオナルドと対峙しようとしていたのだった。

 

「お引き取りくださいませ」

レオナルドのところへ、先に追いついたのは赤い羽の交渉人だった。

レオナルドの言い分も、強い眼力の持ち主の気持ちも理解せず、お決まりのセリフを言ってのけた。

 

ヒツジ飼いの冒険(第32話)へ続く

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*ヒツジ飼いの冒険は毎週日曜日12:00公開を予定しています。

カヌーイストなんて呼ばれたことも、シーカヤッカーと呼ばれたこともあった。 伝説のアウトドア雑誌「OUTDOOR EQUIPMENT」の編集長だったこともあった。いくつもの雑誌編集長を経て、ライフスタイルマガジン「HUNT」を編集長として創刊したが、いまやすべて休刊中。 なのでしかたなくペテン師となり、人をそそのかす文章を売りながら旅を続けている。