キング アーサーのここだけの話
泣きたいのは俺の方
目の前に泣くオンナがいても、頼りないなんていわれたら、肩を抱いてやってもなんの意味も持たない。
泣きたいのは俺の方だった。
「街にドクターを探しに行く」そう言ってナタリーはバンガローを飛び出した。
駆け出したナタリーの後ろ姿が小さくなるにつれ、俺は少しずつ状況を理解しはじめた。
ナタリーは確かに<シンが大変なの>と言ったはずだ。
海で溺れた・・・わけがない。
だったら、サメに噛まれたのか?
それだったら一大事だ。
俺もナタリーの後を追って駆け出した。
追いついたときには、俺の息も上がっていた。
「ナタリー、何があったの?」そして息も絶え絶えに訊いた。
続く
次回の話/なんの経験もない医大生
前回の話/噛み合わない会話
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