COOK,  LIFE

珈琲をもう一杯 / 第三十七話 「タンザピア、法螺マンジャロ」

タンザニアのコーヒーと
言うと日本では通称「キリマン」
として名峰キリマンジャロ周辺で
栽培された豆が有名ですが、
昨今では、
それ以外の地域でも優れた豆が
産出されており、キリマンの影は
薄れつつあるかも知れません。

でも、僕は浅く煎った
キリマン特有の酸味、
深く煎った時の
キレのある苦味が大好き
なんです。

さて、

タカガニーカ国王の
法螺吹き男爵に呼ばれた
ペンジバル国のペン太
「男爵、法螺マンジャロの
コーヒー栽培の事かい?」

すると男爵、いつにない
真面目な顔で
「いや、今回はその話し
じゃなくてな。
秘密だぜ、実は俺の国は独立を
果たそうと思う。
内密にイギリスと話は進んでいて、
向こうも統治領から開放したいそうだ。

ペンよ、お前の国も内政が不安定で
クーデターの噂を聞くぞ。
大丈夫か?。」

「げっ、男爵の耳にも入って
いたか。 ここだけの話、
おいらの国も独立できないか
模索してるんだ。

ただ、男爵が言うように、独立
してもクーデターは抑える自信が
ないからなぁ。」

「なら、決まりだ。 一緒になろう。
連合して共和国制だ。」

「男爵、国名はどうする?」
「俺のタカガニーカ国と
お前のペンジバル国でタカペン連合
共和国でどうだ。」

「男爵、そりゃ、単純過ぎる。
男爵とおいらの好きな The Beer も加えて
タカのタにペンのン
それに The Beer を繋いで
タンザビアでどうだろう。」

「いいじゃないか!」

昔のコーヒー本を読み返して
いたらキリマンジャロはタンガニーカ
の豆と書かれていて、
そういえばタンザニアは2つの
国がひとつになり出来た国、
きっと一つになるにあたり
こんなやり取りがあったの
ではないか、と・・・

んな、分けないですかね。

1964年にタンガニーカと
ザンジバルが一緒になり
連邦国家が誕生。
この地域で栄えたアザニア文化
を複合しタンザニアと言う名称
になったようです。

現在でも、陸地部はタンガニーカ
島嶼部はザンジバルと言う地域名で
呼ばれているようですが、
国名としてはタンザニアです。

しかし、
タカペンにならなくて良かった。

航空会社に勤めていたものの、うん十年前は「カヌーイストになるんだ!」と、チキンラーメンを食しながら川を下る。 かと思えば、「ウミンチュになるぞ!」と、沖縄の海で鯨を追いかけたりもした。 が、「ちゃんと仕事はしてるのか!」と、皆が疑問を呈しだしたので、「こりゃいかん」と退職。 まっとうな人生を送るべく、珈琲屋として再スタートを切る。 深煎り珈琲が味わえる『スリーペンギンズ』(横浜市磯子区滝頭 3-4-22)の店主に収まる。