キング アーサーのここだけの話
プールのように澄んだ海
ついに俺たちは、島を離れることにした。
大学院をやめる決意のできた俺には、これから無限とも思える自由な時間がある。
だからこの島に残ろうと思えばできたはずだ。
それでも俺は島を離れることを選んだ。
シンさんがこの先どこへ行くのか知らない。
ナタリーがこの先どこへ行くのかも知らない。
そしてナタリーが、シンさんについていこうかと考えてるかもわからない。
離岸した瞬間から3人は、ただ黙ってボートの下を眺めていた。
最初に口を開いたのは、ナタリーだった。
「まるでプールのように澄んでるね」
それは島に着いた日、ナタリーが海に入ったときに最初に言ったのとまったく同じセリフだった。
続く
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