LIFE,  TRIP

キング アーサーのここだけの話
お金のある、なしじゃない

2等席には紳士、淑女が集まっている。

シンさんはそう理解していた。

 

「なぜ?」俺とナタリーは疑問だらけだった。

「それを決めるのはお金のある、なしじゃない」とシンさんは応えた。

紳士、淑女と認められるのは振る舞いだという。

 

たしかに1等席へ行くと、シートこそクッションは備えられているが、手荒く扱われ破れていたりする。

しかも乗車人数は少ないというのにゴミだらけ。

そのゴミは自分のまわりをきれいにしておきたいという理由で、無残にも通路に捨てられる。

 

一方で2等席はというと、簡素な板張り。

破れようもないといえばそれまでだが、塗料のツヤではなく人の肌に触れ続けた経年により表面がなめらかで美しい。

寝台のない2等席では通路で横になる人もいるので、そこにゴミが捨てられることもない。

無論、2等席に座るような人たちには列車内の売り子から買い物をすることなどなく、ゴミが生まれる要因もない。

結果はどうあれ、生みださないというプロセスは重要だ。

 

続く

前回の話/天然のシャワー

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最初の話/はじまりのはじまり

キング・カズと生年月日が一緒の1967年2月26日生まれ。外人は<アサタロー>と発音しにくいらしいので、海外では<アーサー>と名乗っていたら、親しい外人仲間が<キング・アーサー>とニックネームをつけてくれた。「アサタロウ」と日本で名乗ると「アソウ・タロウ?」と聞き間違いされることが多々ある。彼が幹事長のときは俺に<カンジチョー>のあだ名がつき、総理大臣になると<ソーリ>と呼ばれるようになったが、彼の総理大臣辞任後も俺の格下げはなく、いまでも<ソーリ>のあだ名は定着している。本業はコーディネーター。