LIFE,  TRIP

キング アーサーのここだけの話
洗濯物の乾きがよさそうだよね

東京の下町に張り巡らされた都電でもこんなところは通らない。

バンコクへ近づくと、列車は民家から飛び出した洗濯物をこするほど近くを通り抜けていく。

無論、列車が幅寄せしているのではない。

列車の通るところは一定で、家との距離が詰まることはない。

その日によって量や干す位置が変わる洗濯物が空中支配域を広げているのだ。

列車に近づけることにより、通過の際に巻き起こる風で洗濯物が早く乾くという理論なのだろうか。

 

はじめて見る風景に囚われようと思えば、いとも簡単なこと。

3人が会話を交わさないことは不自然ではない。

だがこのまま気まずい雰囲気で終わるのは、俺には耐え難い。

「天気がいいから、洗濯物の乾きがよさそうだよね」俺はそういってナタリーへ近づいていった。

 

前回の話/気まずい雰囲気での解散

「キング アーサーのここだけの話」は毎月3の倍数日に更新!

最初の話/はじまりのはじまり

キング・カズと生年月日が一緒の1967年2月26日生まれ。外人は<アサタロー>と発音しにくいらしいので、海外では<アーサー>と名乗っていたら、親しい外人仲間が<キング・アーサー>とニックネームをつけてくれた。「アサタロウ」と日本で名乗ると「アソウ・タロウ?」と聞き間違いされることが多々ある。彼が幹事長のときは俺に<カンジチョー>のあだ名がつき、総理大臣になると<ソーリ>と呼ばれるようになったが、彼の総理大臣辞任後も俺の格下げはなく、いまでも<ソーリ>のあだ名は定着している。本業はコーディネーター。