LIFE,  TRIP

キング アーサーのここだけの話
駅到着直後の一瞬

列車が完全に停車した。

停車した瞬間、左右に大きく揺れた。

さっきまで微動だにしなかった乗客たちが、一瞬で動き出したのだ。

 

マラソン大会がはじまったような勢いで、誰もが前にいる人をかき分けるように我先へと繰り出す。

書き分けられた人は、おのずと後方へ押しやられる。

それでも必死で抵抗し、後ろではなく前へ進もうと行くものがほとんどだ。

先に行かねば、なにか手柄を得られないのだろうか。

そんな気さえする駅到着直後の一瞬。

 

だが俺は、もといた席よりずっと後ろに追いやられてしまった。

 

前回の話/大きく揺れる客車

「キング アーサーのここだけの話」は毎月3の倍数日に更新!

最初の話/はじまりのはじまり

キング・カズと生年月日が一緒の1967年2月26日生まれ。外人は<アサタロー>と発音しにくいらしいので、海外では<アーサー>と名乗っていたら、親しい外人仲間が<キング・アーサー>とニックネームをつけてくれた。「アサタロウ」と日本で名乗ると「アソウ・タロウ?」と聞き間違いされることが多々ある。彼が幹事長のときは俺に<カンジチョー>のあだ名がつき、総理大臣になると<ソーリ>と呼ばれるようになったが、彼の総理大臣辞任後も俺の格下げはなく、いまでも<ソーリ>のあだ名は定着している。本業はコーディネーター。