LIFE,  TRIP

キング アーサーのここだけの話
水の都、バンコク

あの頃はゲリラ豪雨なんて言葉はなかった。

突然降り出す土砂降りもバンコクでは日常。

冠水した街に不自由はあるが、子供たちにとっては毎日短時間現れる遊び場だった。

 

豪雨で街が冠水するのも、水はけがいいのも、当時のバンコクには水路が張り巡らしてあった結果か。

道路は慢性化した交通渋滞。

乗車賃2バーツ、わずか10円の公共バスに乗っても、ルートによってはいつたどり着くかわからぬ状態。

しかもエアコンはなく、すべての窓は開け放っていても風が流れることはなく、蒸し暑い。

街には碁盤の目のように水路が張り巡らしてあり、そこを行き交う水上タクシーと呼ばれたロングテールボートの乗車賃は気持ち割高な3バーツ。

水路は道路のような輻射熱はないので涼しく、大好きな便利な交通手段だった。

 

シンさんは狭いロングテールボートにギターとバックパックを詰め込み込んだ。

バンランプーからファランポーンまでは水上タクシーでの移動。

ファランポーンからチャイナタウンを抜け、ジュライホテルまで二人でゆっくりと歩いた。

 

続く

次回の話/もろくも欠けた冷静

前回の話/泊まる目的

キング・カズと生年月日が一緒の1967年2月26日生まれ。外人は<アサタロー>と発音しにくいらしいので、海外では<アーサー>と名乗っていたら、親しい外人仲間が<キング・アーサー>とニックネームをつけてくれた。「アサタロウ」と日本で名乗ると「アソウ・タロウ?」と聞き間違いされることが多々ある。彼が幹事長のときは俺に<カンジチョー>のあだ名がつき、総理大臣になると<ソーリ>と呼ばれるようになったが、彼の総理大臣辞任後も俺の格下げはなく、いまでも<ソーリ>のあだ名は定着している。本業はコーディネーター。