LIFE,  TRIP

キング アーサーのここだけの話
彼女の名前はナタリー

彼女は俺の目を覗き込みながら言った。

「それで、私はどの女優に似てるの?」

 

彼女の瞳に一瞬でやられた俺は、口から出そうになっている活きのいい心臓を飲み込んで答えた。

「マチルダ」

シンさんは笑ったが「それって、子供じゃない」と、彼女は頬を膨らませた。

 

確かにマチルダは子供だったが、彼女のどこかにその女優、ナタリー・ポートマンの面影があったのも事実。

この数年後、スターウォーズで演じるパドメとは本当によく似ていると、ファントム・メナスが公開になったときに思ったものだ。

 

頬を膨らませていた息を鼻から静かに抜くと、彼女は続けて言った。

「でもね、ひとつ間違いじゃないのは、女優と同じファーストネーム。私はナタリー」

「俺、アーサー」

「S・I・Nで、シン」

やっと名前を名乗り合うことができた。

 

「<SIN>・・・罪なんて名前をつけられちゃうなんて、あなたはママに嫌われてるの?」ナタリーは心配そうに言った。

「そうかもしれない。プロフェッショナルな殺し屋と仲良くしてるから」

シンさんとナタリーは吹き出して笑った。

 

ナタリーを先に見つけたのは俺なのに、後から来たシンさんに軽く抜き去られ、耐え難い後塵を浴びた気分だった。

 

続く

次回の話/空き部屋は絶対にある

前回の話/日本語を使うな

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最初の話/はじまりのはじまり

キング・カズと生年月日が一緒の1967年2月26日生まれ。外人は<アサタロー>と発音しにくいらしいので、海外では<アーサー>と名乗っていたら、親しい外人仲間が<キング・アーサー>とニックネームをつけてくれた。「アサタロウ」と日本で名乗ると「アソウ・タロウ?」と聞き間違いされることが多々ある。彼が幹事長のときは俺に<カンジチョー>のあだ名がつき、総理大臣になると<ソーリ>と呼ばれるようになったが、彼の総理大臣辞任後も俺の格下げはなく、いまでも<ソーリ>のあだ名は定着している。本業はコーディネーター。