キング アーサーのここだけの話
笑顔のステキな女の子
今夜、シンさんはバンガローに戻ってこない。
こんなチャンスは二度とないかも。
俺は話を誇張しながらも、完璧な男の中の男「小林朝太郎」像を作り上げ、ナタリーに自分をアピールした。
シンさんには港の数だけ彼女がいて、彼女を空港へ送って行ったその日に、別の女の子を口説いていたなんて話もした。
「シンならしそう。彼はイタリアンなんだわ」とナタリーは笑ってくれた。
完璧な男の中の男を演じているくせに、シンさんの女癖の悪さで会話も盛り上げようとするなんて、どこまでも卑怯な俺なんだ。
俺はもともと夜型人間なので、いつまでも起きていられる。
ましてやこんなに笑顔のステキな女の子が目の前にいて、話を聞いてくれる。
俺のつたない英語がどこまで通じているかわからないが、ナタリーは大笑いしてくれた。
夕日に染まったビーチは、やがて漆黒の海へと変わり、そして朝の光とともに極彩色を取り戻そうと色づきはじめた。
俺は一体どれだけ長い時間、中身のない会話を続けたのだろうか。
俺の覚悟はとっくに決まっていた。
彼女が好きだ。
ナタリーのすべてが好きでしょうがない。
でもそれをどうやって英語で伝える?
英語ではどうやって口説くのだろうか?
続く
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