COOK,  LIFE

珈琲をもう一杯 / 第十八話「ネルに首ったけ」

わいはネルドリップの珈琲が好きやねん。
えっ? 何? ネルドリップって?

フランネル(毛織物)のフィルターをつこうて淹れた珈琲やで。
旧くから続くお店ではつこうとる所もあるし、また、最近ではネルドリップコーヒーを売りにするお店も出て来とりますわ。

ペーパードリップの様な手軽さはあらへんが
味わいは珈琲の醍醐味を存分に味わえんで。

ペーパーを用いる場合、フィルターに紙の濾紙をセットして粉を入れまっけど、ネルフィルターの場合、布をセットするフィルターは無く布自体が袋状になっており袋を枠で固定する形状になっとります。

さて、

ペーパーとネルで淹れた場合何がちゃうのやろ?

先ずはメッシュの違いねんな。 紙と布の目の粗さ、ネルの方が粗く紙では透過せぇへん粒度のものや油脂分を通し易いといえます。
さらに、粉が湯を抱え込むホールド力の違い、つまり粉が膨らむ時の空間がペーパーではフィルターに阻まれ上部しかあらへんのに対しネルは布が伸びる事により上下左右自由に拡がりまっせ。
湯の圧力が均等にかかり湯を抱え込む力が大きくなると思とります。
その分しっかり成分が抽出されますねん。

それぞれで淹れた珈琲の味や質感はどないかっちゅうと。

ペーパーは、軽くサラッとした味わいで質感はカチッと硬いイメージ対してネルは旨味がのったコッテリとした味わいで質感はトロッとした軟かいイメージやで。

つづきまっせ

 

 

航空会社に勤めていたものの、うん十年前は「カヌーイストになるんだ!」と、チキンラーメンを食しながら川を下る。 かと思えば、「ウミンチュになるぞ!」と、沖縄の海で鯨を追いかけたりもした。 が、「ちゃんと仕事はしてるのか!」と、皆が疑問を呈しだしたので、「こりゃいかん」と退職。 まっとうな人生を送るべく、珈琲屋として再スタートを切る。 深煎り珈琲が味わえる『スリーペンギンズ』(横浜市磯子区滝頭 3-4-22)の店主に収まる。