キング アーサーのここだけの話
ジュリーとケイトとともに入居
あのあと、シンさんとナタリーに何があったのか知らない。
俺とジュリーとケイトに何があったのか、よく覚えていない。
ひとつだけわかっていることは、パーティは盛り上がったままいつの間にか朝を迎え、ナタリーはシンさんのバンガローと移り住み、俺は空き家となったナタリーのバンガローへジュリーとケイトとともに入居となった。
本来の予定ではフルムーンパーティの翌日の夜にボートで島を離れ、スラータニーを経由してバンコクへ向かい、次ぐ日の夜には帰国の途へ着くはずだった。
「予定通りにいかないってのが旅ってもんだ」シンさんは言った。
「そうよ」と言って、ジュリーとケイトは俺に腕を絡めてきた。
スピードポンチが効いているのか、午後になっても誰も寝ようとしない。
風もまったく吹かない高気圧に包まれたバンガローのカフェで、何をすることもなくまったりと過ごしていた。
やがて何の前触れもなくシンさんだけが立ち上がり、スキンカヤックをビーチへと引きずり出した。
俺たちもそれに釣られるように波打ち際へとついていった。
続く
次回の話/どこまでも遠浅の海
前回の話/持ち帰りできるかも
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