LIFE,  TRIP

キング アーサーのここだけの話
ジュリーとケイトとともに入居

あのあと、シンさんとナタリーに何があったのか知らない。

俺とジュリーとケイトに何があったのか、よく覚えていない。

 

ひとつだけわかっていることは、パーティは盛り上がったままいつの間にか朝を迎え、ナタリーはシンさんのバンガローと移り住み、俺は空き家となったナタリーのバンガローへジュリーとケイトとともに入居となった。

本来の予定ではフルムーンパーティの翌日の夜にボートで島を離れ、スラータニーを経由してバンコクへ向かい、次ぐ日の夜には帰国の途へ着くはずだった。

 

「予定通りにいかないってのが旅ってもんだ」シンさんは言った。

「そうよ」と言って、ジュリーとケイトは俺に腕を絡めてきた。

 

スピードポンチが効いているのか、午後になっても誰も寝ようとしない。

風もまったく吹かない高気圧に包まれたバンガローのカフェで、何をすることもなくまったりと過ごしていた。

やがて何の前触れもなくシンさんだけが立ち上がり、スキンカヤックをビーチへと引きずり出した。

俺たちもそれに釣られるように波打ち際へとついていった。

 

続く

次回の話/どこまでも遠浅の海

前回の話/持ち帰りできるかも

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最初の話/はじまりのはじまり

キング・カズと生年月日が一緒の1967年2月26日生まれ。外人は<アサタロー>と発音しにくいらしいので、海外では<アーサー>と名乗っていたら、親しい外人仲間が<キング・アーサー>とニックネームをつけてくれた。「アサタロウ」と日本で名乗ると「アソウ・タロウ?」と聞き間違いされることが多々ある。彼が幹事長のときは俺に<カンジチョー>のあだ名がつき、総理大臣になると<ソーリ>と呼ばれるようになったが、彼の総理大臣辞任後も俺の格下げはなく、いまでも<ソーリ>のあだ名は定着している。本業はコーディネーター。