LIFE,  TRIP

キング アーサーのここだけの話
明るいうちにビーチへ

スラーターニーで1泊しようという俺の提案を無視して、ナタリーはバスステーションへと歩き出した。

「ビーチに行くんじゃなかったのかよ」俺はナタリーに問いただした。

「だから、バスでビーチに向かうのよ」ナタリーはウインクして先頭を歩く。

シンさんは何も言わず、俺に肩をあげてみせた。

 

ナタリーに従うしかない。

そんなサインだろう。

 

「クラビー行き」といって、バスチケット売り場でナタリーは3人の座席を確保した。

「クラビーって、どのくらいかかんの?」俺はまたナタリーに問う。

「すぐよ。明るいうちにビーチへ行けるわ」とだけナタリーは答えた。

笑っているシンさんは、少なくとも地理的事情を把握しているらしい。

 

続く

前回の話/コンクリートに囲まれた波止場

「キング アーサーのここだけの話」は毎月3の倍数日に更新!

最初の話/はじまりのはじまり

キング・カズと生年月日が一緒の1967年2月26日生まれ。外人は<アサタロー>と発音しにくいらしいので、海外では<アーサー>と名乗っていたら、親しい外人仲間が<キング・アーサー>とニックネームをつけてくれた。「アサタロウ」と日本で名乗ると「アソウ・タロウ?」と聞き間違いされることが多々ある。彼が幹事長のときは俺に<カンジチョー>のあだ名がつき、総理大臣になると<ソーリ>と呼ばれるようになったが、彼の総理大臣辞任後も俺の格下げはなく、いまでも<ソーリ>のあだ名は定着している。本業はコーディネーター。