LIFE,  TRIP

キング アーサーのここだけの話
華やかなビーチリゾート

引き返すべきなのか、それとも先に進みつつ、港へ通じる道を探すべきなのか。

誰も地図を持っていないので、島全体のルートを把握していない。

「後戻りはイヤだなあ」最後尾にいるシンさんが言った。

とにかくこの道をゆけば、港どころではなく、ローマにたどり着くとも。

 

「ローマに行く必要ない」とケイトは陽気な声で返したが、顔は少し不機嫌そうだった。

しかしその表情もすぐに晴れた。

ジャングルを抜けると港にはたどり着けなかったが、ちょっと華やかなビーチリゾートが広がっていた。

揃いのパラソルが際立ち、大きな期待が広がった。

 

「ここなら、電話あるんじゃない!」ジュリーが俺の顔を覗き込んで言った。

なんの確信もないが、俺は頷いた。

「それよりここなら、冷えたドリンクがあるんじゃない!」ケイトが満面の笑みで振り返った。

なんの確信もないが、俺は強く頷いた。

 

続く

次回の話/英語を理解してる?

前回の話/見覚えのない風景

「キング アーサーのここだけの話」は毎月3の倍数日に更新!

最初の話/はじまりのはじまり

キング・カズと生年月日が一緒の1967年2月26日生まれ。外人は<アサタロー>と発音しにくいらしいので、海外では<アーサー>と名乗っていたら、親しい外人仲間が<キング・アーサー>とニックネームをつけてくれた。「アサタロウ」と日本で名乗ると「アソウ・タロウ?」と聞き間違いされることが多々ある。彼が幹事長のときは俺に<カンジチョー>のあだ名がつき、総理大臣になると<ソーリ>と呼ばれるようになったが、彼の総理大臣辞任後も俺の格下げはなく、いまでも<ソーリ>のあだ名は定着している。本業はコーディネーター。