LIFE,  TRIP

キング アーサーのここだけの話
文明社会の味

冷えたコカコーラにありつければ最高と思っていたが、このビーチリゾートでは冷えたハイネケンまで在庫していた。

 

バーカウンターの上部に設置されたテレビモニターでは、映画「カクテル」がエンドレスで映し出されている。

アロハシャツに身を包んだボーイは、俺たちの元へ踊りながらビールを運んできた。

 

「文明社会の味がする」

ビールに口をつけた俺はそう言ったものの、決して褒め言葉ではなかった。

「ビールが冷えてるって嬉しいけど、格別じゃないね」ケイトも続いてくれた。

 

賑やかなビーチリゾートの存在を否定するものではない。

だが、そのときの自分たちが望んでいたものは作られすぎたウソっぽいそれではなく、文明の先端からちょっと遅れてるくらいが心地よかった。

 

ビールがこれほどまでにほろ苦く感じたことは、それまでなかったのは事実だ。

 

続く

次回の話/道幅いっぱいの厄介者

前回の話/英語を理解してる?

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最初の話/はじまりのはじまり

キング・カズと生年月日が一緒の1967年2月26日生まれ。外人は<アサタロー>と発音しにくいらしいので、海外では<アーサー>と名乗っていたら、親しい外人仲間が<キング・アーサー>とニックネームをつけてくれた。「アサタロウ」と日本で名乗ると「アソウ・タロウ?」と聞き間違いされることが多々ある。彼が幹事長のときは俺に<カンジチョー>のあだ名がつき、総理大臣になると<ソーリ>と呼ばれるようになったが、彼の総理大臣辞任後も俺の格下げはなく、いまでも<ソーリ>のあだ名は定着している。本業はコーディネーター。