キング アーサーのここだけの話
そんな自由は欲しくない
部屋にドラッグは何ひとつ残ってないが、ハーブの甘い香りは蚊帳に染み込んでいた。
飛ぶことはできないが、心地よい気分にはさせてくれた。
彼女たちが出ていったその日、俺はバンガローから1歩も外へ出ることはなく、文字通りベッドでゴロゴロしていた。
昨日までは3人で川の字になって寝ていたベッド。
寝返りを打つことなんて不可能だったが、いまはベッドの端から端まで自由に転がっていける。
そんな自由なんてまったく欲しくない。
夢のような日々。
本当は夢だったと自分に言い聞かせが、やはり心惜しかったのだろう。
ベッドの両端にケイトとジュリーの温もりを探し、何度も往復した。
続く
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