LIFE,  TRIP

キング アーサーのここだけの話
野上真一が死ぬ

意識不明。

シンさんが意識不明。

頭を駆け巡るのはナタリーが叫んだ「アンコンシャス!」=意識不明という単語だけ。

それがどうして起こったのか、考える余裕もなかった。

 

「ナタリー。シンさんに何があったの?」やっと聞けたのは、街の一歩手前だった。

「わからない。ここのところ熱が出てうなされては冷め、発熱しては冷めっていうのを1日に何度も繰り返して・・・」

「ほかの症状は」

ナタリーはがっくりと肩を落として言った。

「関節が痛いって言ってたり、寒いってガタガタと震えたり」

 

気温も湿度も1日中高い熱帯性ジャングル気候のこの島で、悪寒がするなんて。

しかも1日に何度も容体が変わる。

何の病気だ・・・。

 

本当は頭の中で病名は出ていた。

しかも現在意識不明。

 

シンさんが死ぬ。

ナタリーもそれを気づいているようだった。

 

続く

次回の話/止まるほど遅くなった足

前回の話/なんの経験もない医大生

「キング アーサーのここだけの話」は毎月3の倍数日に更新!

最初の話/はじまりのはじまり

 

キング・カズと生年月日が一緒の1967年2月26日生まれ。外人は<アサタロー>と発音しにくいらしいので、海外では<アーサー>と名乗っていたら、親しい外人仲間が<キング・アーサー>とニックネームをつけてくれた。「アサタロウ」と日本で名乗ると「アソウ・タロウ?」と聞き間違いされることが多々ある。彼が幹事長のときは俺に<カンジチョー>のあだ名がつき、総理大臣になると<ソーリ>と呼ばれるようになったが、彼の総理大臣辞任後も俺の格下げはなく、いまでも<ソーリ>のあだ名は定着している。本業はコーディネーター。