LIFE,  TRIP

キング アーサーのここだけの話
波打ち際へ向かうシンさん

特効薬がないはずのマラリアなのに、何かが起因してシンさんを奇跡的にも救った。

あのときあったのはナタリーがコーラで口移しにした丸薬だけ。

 

マラリアに効いたのは丸薬なのか、コーラなのか、それともナタリーの唾液なのか。

何かがシンさんを救ったことだけは間違いない。

 

待つこと数時間。

夜明けとともにシンさんが高床式のバンガローから出てきて、床下からスキンカヤックを引きずり出した。

スキンカヤックを片方の肩にかけ、もう一方にはパドルを手にし、波打ち際へゆっくりと歩いて向かう。

 

俺はテーブルを離れ、シンさんの元へと駆け寄った。

「性質は一緒だけど生い立ちが違うって、どう違うの?」

 

続く

次回の話/過日通りのルーティーン

前回の話/謎かけの答え待ち

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最初の話/はじまりのはじまり

キング・カズと生年月日が一緒の1967年2月26日生まれ。外人は<アサタロー>と発音しにくいらしいので、海外では<アーサー>と名乗っていたら、親しい外人仲間が<キング・アーサー>とニックネームをつけてくれた。「アサタロウ」と日本で名乗ると「アソウ・タロウ?」と聞き間違いされることが多々ある。彼が幹事長のときは俺に<カンジチョー>のあだ名がつき、総理大臣になると<ソーリ>と呼ばれるようになったが、彼の総理大臣辞任後も俺の格下げはなく、いまでも<ソーリ>のあだ名は定着している。本業はコーディネーター。