LIFE,  TRIP

キング アーサーのここだけの話
過日通りのルーティーン

朝から一体何を言い出すのだ。

そんな顔を前面に浮かべるように、シンさんはキョトンとしていた。

「はあ? なんのことや」

「チョコレートとチョコの違いって何?」

「ああ、それか」もったいぶるわけではないだろうが、なかなか答えを口にしない。

「だから、違いは?」

 

俺の質問に答えたシンさんはすっかり過日通りのルーティーンに戻り、スキンカヤックで水平線の彼方に消えていった。

 

しばらくするとナタリーもバンガローから這い出し、椰子の葉を張っただけの屋根しかない簡素なレストランへ向かう。

マジックマッシュルーム入りのオムレツとコーラを注文すると朝食として平らげる。

あとはシンさんが帰ってくるまで日陰で本を読むか、暑くなれば海でひと泳ぎする。

ナタリーのルーティーンはそんな生活だ。

 

続く

次回の話/サハラはええで

前回の話/波打ち際に向かうシンさん

「キング アーサーのここだけの話」は毎月3の倍数日に更新!

最初の話/はじまりのはじまり

キング・カズと生年月日が一緒の1967年2月26日生まれ。外人は<アサタロー>と発音しにくいらしいので、海外では<アーサー>と名乗っていたら、親しい外人仲間が<キング・アーサー>とニックネームをつけてくれた。「アサタロウ」と日本で名乗ると「アソウ・タロウ?」と聞き間違いされることが多々ある。彼が幹事長のときは俺に<カンジチョー>のあだ名がつき、総理大臣になると<ソーリ>と呼ばれるようになったが、彼の総理大臣辞任後も俺の格下げはなく、いまでも<ソーリ>のあだ名は定着している。本業はコーディネーター。