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若気ノイタリーの回顧録 アフリカ最大の動物保護区で自走サファリ旅 -5

サバンナの夕暮れとナイトサファリ

引き続きサファリ旅行の2日目。朝からずっと車を走らせながら動物の気配をキャッチする楽しい1日を満喫していた僕。

サバンナに丸一日もすると、眠っていた僕の野生が目を冷ましたのか、小さなサルの赤ちゃんも見逃さなくなった。調べたところ、このお猿さんはベルベットモンキーという種類らしく、大人のオスの睾丸は驚くほど真っ青なので、気になる人は是非ググって欲しい。ちなみに日本ではどこの動物園でも飼育されていないらしい。

 

アフリカゾウはその体躯の良さから、いれば必ず発見できてしまう。向こうも車を見慣れているのか、臆せずに道路をのそのそと横断していく。たまに彼らの落し物が道路にあったりするので、気をつけていないとモロに踏んづけてしまう。

 

先日予約なしで宿が取れたことに味をしめて、この日も宿の予約をしていなかった僕。いよいよ日も傾いてきたので、目星をつけていた宿に急いでいると、オレンジの夕日に照らされていたサイが遠くに見えた。

風の音より虫の鳴き声が大きくなってきた、とても平和な夕暮れ。

 

日が完全に沈む前に空に輝いていた、まん丸いお月さま。

黄昏時まで草をムシャムシャ食べていたシマウマたちを観察していると、日が沈んだ途端に大移動し始めた。安全な寝ぐらはどこにあるのだろうか。

 

いや、そんな他人(他動物)の心配はいいから自分の寝床を確保しろ。。。

 

ギリギリセーフで宿を得た

 

https://driftingscouts.blogspot.com/2017/03/destination-review-tamboti-tented-camp.html

時刻はまたもや18時過ぎ。なんとかクルーガー国立公園の中腹の東側に位置するオーペン・ゲートの受付に滑り込み、近くにあるタンブティ・テント・キャンプに泊まる事が出来た。

 

昨晩とはまた違ったスタイルで、今夜はご覧のようなキャンバステントに泊まる。日本では、場合によってはこの手のテントでグランピングと謳うところがあるかもしれない。

がしかし、価格は日本円で一泊4500円程度。昨晩泊まった場所の半額で泊まれたことからもわかるように、ここはグランピングなんて気の利いたもんでも無い。

典型的なサファリテントで、あるのはベッドと扇風機、冷蔵庫ぐらい。電源はかろうじて通っている程度で、シャワーやトイレは、キャンプ場のように共有の建物に集約してあった。

だけど逆に言えばここにテレビがあっても興ざめだし、これはこれでちょっとワイルドな気がして嬉しくもある。クルーガー内にはもっとラグジュアリーな、それこそグランピングのようなキャンプもあるけれど、大半は割と簡素なものが多かったりする。

 

さて、例によってこの日も時間がなく、ディナーは閉店ギリギリに売店で買っていたサンドイッチ。テラスで夕涼みしながらモソモソ食すことになった。

辺りを見渡すと、テントの周りは大きな葉ぶりが特徴的なタンボティの木やナタルマホガニーの林に覆われ、隣のテントの様子は遮られている。テラスからは川を見下ろす事ができて、なかなかチルなロケーションだった。

ナイトサファリに行こう

時間は19:30分。この宿を予約した際に、「このテントキャンプに泊まるなら、ナイトサファリに参加するのがおすすめだよ」と受付の人が提案してくれたので、どうせならばと思い申し込んでいた。

通常、夜間は自走で公園内を走ってはいけないのだが、唯一ナイトサファリのツアーバスでなら夜中のサバンナに繰り出す事ができる。価格は忘れてしまったが、確か4000円とかそんなものだったと思う。2時間でそのぐらいの値段ならお得だろう。

トラックの荷台を座席にしたような、3,40人ほど乗車できる車に乗り込んで、ガイドがドライブに連れて行ってくれる。

ガイドは各人にペンライトを配り終えると「良いか、俺が指示したらライトをつけるんだ。直接照らすと動物が逃げちゃうからな。あとカメラのフラッシュも禁止だ」と忠告をし、真っ暗闇を走り出した。

 

走り出して20分した頃、ガイドが何やら指をさして「左側に座っている人たちはペンライトを向けて!」と言い放った。その視線の先には二頭のメスライオン。今朝見損ねた彼女らをまた拝めるとは。

しかし、そこはさすが夜行性の動物。その歩みは素早く、あっという間に茂みに潜んでしまった。

見られたのはほんの30秒ほどだったが、これでお客は大興奮。20人ほどの乗客は、さらに目を皿にして暗闇を見つめた。

・・・・・・

 

車がキャンプを後にして1時間。ライオンの後はヌーがいたぐらいで割と何も見えない時間が続いた。

その頃には「ガイドにゃ任せてられん」と、乗客らはガイドに言われる前からライトで辺りを照らしちゃっていていて、後方に乗ってる僕は「そんな照らしたら僕が見る前に逃げちゃうだろ」と内心思いつつ、仕方なく僕も暗闇をライトで照らした。

そうこうしてると、「レオパード!!」と誰かが小声で叫んだ。

声の方を見るとすでにヒョウがこちらにお尻を向けて逃げているところで、カメラに収められた中でこれがベストショットだった。

結局野生のヒョウのお顔が見れず。。。

生ぬるい空気のサファリを駆け抜けるナイトドライブはこれにて終了。

暗いし車は動くし良い写真は撮れなかったけど、この目で野生のライオンとヒョウが見れたから大満足。

ワイルドミートのジャーキーを齧りつつ、「サバンナ」アップルサイダーを飲んで夜空を見上げると、肉眼ではっきりと星が見えた。標高が高くないし満月の日だというのに。さすがは南アフリカ。

【次回】サバンナで脱輪。鈴木、万事休す!?

次が南アフリカ編の最終回。お見逃しなく。

アウトドアライフスタイルマガジン「HUNT」の創刊から編集者として携わりフリーランスに転身。現在はワーキングホリデーで海外に住みながらパートタイムで日銭を稼ぎ、英語を練習し、現地で見つけた面白いものを取材して雑誌やwebマガジンで紹介中。