キング アーサーのここだけの話
退屈という文字
行く先もわけも分からず、ただナタリーについていったら到着したクラビー。
ここに何があるのかもわからない。
今夜泊まっているゲストハウスの窓からはネオンが縦横無尽に流れる水路を形成し、タクシーのヘッドライトがビュンビュンと流れる。
俺たち3人しか泊まっていないエアコンの効きすぎたドミトリーは寒いほどだ。
夜に弱いシンさんは、すでにいびきをかいて寝ている。
外の風景を眺めるナタリー。
昨夜までの星空に比べ、うんざりするほどつまらない人工的な眺望。
横顔は夜景にうっとりしているようもに見えるが、正面からは退屈という文字が浮かんでいる。
俺はナタリーに、<離れどきかもな>と声なき声をかけ続ける。
それは街への決別なのか、人へなのか。
続く
前回の話/2人から離れるタイミング
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