キング アーサーのここだけの話
あの列車に乗って行こう
インターネットが普及している現代ならば、鉄道の時刻表を簡単に検索できるだろう。
それが定時通り運行されているかは別問題として。
1990年代初頭の旅はインターネットなんてものは皆無。
たとえそれが繋がっていたとしても、まったく役に立たない混沌とした時代だった。
こと東南アジアに関しては。
先が読めないからこそ出向く必要があり、行く価値があった。
スラーターニーの駅に到着し、バンコク行きの発車時刻を調べる。
といってもJRの分厚い時刻表の本から探すようなものではない。
鉄道網と呼ばれるほど路線はない。
主要な駅であっても1日1本の列車しか通過しないのだから、紙切れ1枚の情報ですべての列車時刻を把握できる。
運よく俺たちの乗るべき列車はいまから10分後に到着し、15分後に出発する。
スラーターニー駅では5分の停車。
クラビーからの深夜バスは8時間以上も費やしたが、おかげで駅での滞在はそれほど長く待つことはなく、列車には余裕を持って乗れ、乗車も少なそうだがらなんの問題もなく席を確保できそうだ。
しかし俺は、現実をまったく理解していなかったようだった。
続く
前回の話/計画なんて役に立たない
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