LIFE,  TRIP

キング アーサーのここだけの話
何かに縛られない自由な人生

列車が来ないことは、決して悪いことばかりではなかったようだ。

10分で来るはずだった列車は10時間待っても来なかった。

その間に、何回も駅弁売りがやってきた。

 

本来、駅弁売りは列車が駅に到着して、出発までの間に売りさばく。

しかし列車は来ないから、駅弁売りの仕事はないように思える。

 

だが実際は、列車を待つ俺たちのような客たちが駅のホームにあふれている。

いつ列車が来るかもわからないので、腹が減ったからといってメシでも食おうと駅をうかつに離れることはできない。

だから列車を待つ客たちに、駅弁は飛ぶように売れる。

 

思うがままに生きるケイトとジュリーと出会い、そして突然の別れ。

これからの人生、俺は何かに縛られず彼女たちのように自由に生きていこうと決めた。

そう思って踏み出した矢先、駅に縛られている自分がいる。

なんて滑稽なことだ。

俺は自分を笑うことができるほど、気持ちを整理することができた。

 

続く

前回の話/線路のずっと先の先

「キング アーサーのここだけの話」は毎月3の倍数日に更新!

最初の話/はじまりのはじまり

 

キング・カズと生年月日が一緒の1967年2月26日生まれ。外人は<アサタロー>と発音しにくいらしいので、海外では<アーサー>と名乗っていたら、親しい外人仲間が<キング・アーサー>とニックネームをつけてくれた。「アサタロウ」と日本で名乗ると「アソウ・タロウ?」と聞き間違いされることが多々ある。彼が幹事長のときは俺に<カンジチョー>のあだ名がつき、総理大臣になると<ソーリ>と呼ばれるようになったが、彼の総理大臣辞任後も俺の格下げはなく、いまでも<ソーリ>のあだ名は定着している。本業はコーディネーター。