LIFE,  TRIP

キング アーサーのここだけの話
ゴミは多いが、クズはいない。

物思いに耽るにしては、あまりにも長すぎる時間。

俺たちはついに、駅で一夜を明かした。

 

もちろんその待ち時間に耐えきれず駅から去った者も多かったと思うが、ほとんどの外国人旅行者はホームで待っていた。

 

情報が飛び交わない時代、そこは外にあっても閉ざされた空間。

今たとえるならそうなのだが、当時はそれが当たり前であり、その不便さこそが心地よかった。

なんの情報も得ることはできないが、暇つぶしに何度駅舎へ足を運んだだろうか。

手柄を得ることなくホームに戻り、両手のひらを空に向け、離れたところにいるシンさんにサインを送る。

それだけで満足だった。

 

これは俺だけがやっていたのではなく、外国人旅行者たちはすべからく同じ行動を取っていた。

来ないものは来ない。わからないものは、わからない。

だからすべて笑って許せた。

時間の経過とともに酔っ払い旅行者も増え、ホームにはさらなるゴミが増加した。

 

誰も怒り出す者はいなかった。

今ならば列車が来ないこと、駅員が情報を知らないこと、なにかしらの対象物を捕らえ、短時間でキレる者が続出し、駅舎はパニックとなっていただろう。

 

あの頃、そこらじゅうにゴミは溢れていたが、クズはいなかった。

 

 

続く

前回の話/何かに縛られない自由な人生

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最初の話/はじまりのはじまり

キング・カズと生年月日が一緒の1967年2月26日生まれ。外人は<アサタロー>と発音しにくいらしいので、海外では<アーサー>と名乗っていたら、親しい外人仲間が<キング・アーサー>とニックネームをつけてくれた。「アサタロウ」と日本で名乗ると「アソウ・タロウ?」と聞き間違いされることが多々ある。彼が幹事長のときは俺に<カンジチョー>のあだ名がつき、総理大臣になると<ソーリ>と呼ばれるようになったが、彼の総理大臣辞任後も俺の格下げはなく、いまでも<ソーリ>のあだ名は定着している。本業はコーディネーター。