LIFE,  TRIP

キング アーサーのここだけの話
いつまでも一緒にいられない

俺たち3人はボートのデッキに無言で並んでいた。

だが誰が言い出したわけでもなく、また何らかの同意があったわけでもないが、ボートが島から離れていくと俺たち3人もそれぞれ距離をおくように散っていった。

 

正確には、俺を起点にシンさんとナタリーが別々の方向を歩き出した。

ボートが大陸に到着すれば、いつかは別々の方向へと歩き出すというのに、なぜ今。

 

でもボートが大陸に到着すれば2人はまた一緒に同じ方向へ歩き出すのだから、つかの間だけでもボート内という小さなエリアで散ったのかも。

俺はそう思うように努めた。

しかしシンさんとナタリーはこれからも一緒かもしれないが、俺はいつまでも2人と一緒にはいられない。

 

あの2人と同じように、いつかは俺から離れていく。

どんどんと小さくなっていく島を見つめながら、俺はジュリーとケイトを思い浮かべる。

うまく顔が思い出せず、もはや後ろ姿しか浮かんでこない。

 

続く

前回の話/俺が、俺になった島

「キング アーサーのここだけの話」は毎月3の倍数日に更新!

最初の話/はじまりのはじまり

キング・カズと生年月日が一緒の1967年2月26日生まれ。外人は<アサタロー>と発音しにくいらしいので、海外では<アーサー>と名乗っていたら、親しい外人仲間が<キング・アーサー>とニックネームをつけてくれた。「アサタロウ」と日本で名乗ると「アソウ・タロウ?」と聞き間違いされることが多々ある。彼が幹事長のときは俺に<カンジチョー>のあだ名がつき、総理大臣になると<ソーリ>と呼ばれるようになったが、彼の総理大臣辞任後も俺の格下げはなく、いまでも<ソーリ>のあだ名は定着している。本業はコーディネーター。