LIFE,  TRIP

キング アーサーのここだけの話
意図したことが読めない

コンクリートの地べたはすっかり俺の体温を吸収し、何度も位置を変えたせいでそこらじゅうが温まっている。

自分の体温といえど、この熱帯地域ではとても不快だ。

 

昨日何が起こり、そしてどのように解決したのかわからないが、1日遅れの列車がやってきた。

この不快な地べたともおさらばできる。

俺はこの1日で消費した残り、つまりゴミを拾い上げた。

列車に乗り込む前にこのゴミをどうにかしなければと思い、駅舎からホームに出て来た駅員のもとへ歩み寄った。

通じるわけもないとは思ったが、俺は英語でゴミ箱はどこかを尋ねた。

 

食べかすで汚れたパック、コーラのボトルとキャップ。

俺の中ではプラスチック、ガラス、金属と一応分別してある。

そのゴミの山を突き出しながらの質問だったので、英語がわからずとも、十分理解してくれると思っていた。

 

そして駅員のとった態度は、俺の手からゴミを払いのけるように地面へ落とし、列車とホームの隙間へ足で押し込んだ。

 

俺には駅員の意図したことが読めず、ただ呆然と立ち尽くしていた。

 

続く

前回の話/俺のアイデンティティ

「キング アーサーのここだけの話」は毎月3の倍数日に更新!

最初の話/はじまりのはじまり

キング・カズと生年月日が一緒の1967年2月26日生まれ。外人は<アサタロー>と発音しにくいらしいので、海外では<アーサー>と名乗っていたら、親しい外人仲間が<キング・アーサー>とニックネームをつけてくれた。「アサタロウ」と日本で名乗ると「アソウ・タロウ?」と聞き間違いされることが多々ある。彼が幹事長のときは俺に<カンジチョー>のあだ名がつき、総理大臣になると<ソーリ>と呼ばれるようになったが、彼の総理大臣辞任後も俺の格下げはなく、いまでも<ソーリ>のあだ名は定着している。本業はコーディネーター。