キング アーサーのここだけの話
意図したことが読めない
コンクリートの地べたはすっかり俺の体温を吸収し、何度も位置を変えたせいでそこらじゅうが温まっている。
自分の体温といえど、この熱帯地域ではとても不快だ。
昨日何が起こり、そしてどのように解決したのかわからないが、1日遅れの列車がやってきた。
この不快な地べたともおさらばできる。
俺はこの1日で消費した残り、つまりゴミを拾い上げた。
列車に乗り込む前にこのゴミをどうにかしなければと思い、駅舎からホームに出て来た駅員のもとへ歩み寄った。
通じるわけもないとは思ったが、俺は英語でゴミ箱はどこかを尋ねた。
食べかすで汚れたパック、コーラのボトルとキャップ。
俺の中ではプラスチック、ガラス、金属と一応分別してある。
そのゴミの山を突き出しながらの質問だったので、英語がわからずとも、十分理解してくれると思っていた。
そして駅員のとった態度は、俺の手からゴミを払いのけるように地面へ落とし、列車とホームの隙間へ足で押し込んだ。
俺には駅員の意図したことが読めず、ただ呆然と立ち尽くしていた。
続く
前回の話/俺のアイデンティティ
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