LIFE,  TRIP

キング アーサーのここだけの話
レセプションにいた女の子

シンさんは彼女の存在を知っているのだろうか。

「誰だとしても、通訳を通訳をお願いしたい。俺のリアルな思いを正確に伝えて欲しいんだ」

「なんでもったいぶるんや」

「もったいぶってるつもりはないけど、彼女のこと知ってるかなあと思って」

「まあ僕がその子のことを知らんくても、厚かましく話し込めってことやな」

「厚かましくってことじゃないけど、より詳しく伝えて欲しいんだ」

「深刻やな」

「うん、深刻。人生の転換期」

「大袈裟やな」

「やっぱ大袈裟かな」

「でも、いい話や」

 

いい話といってくれたので、気が少し楽になった。

「ホテルのレセプションにいた、唇がちょっと厚めの女の子って知ってる?」

俺はあらためてシンさんに訊いた。

 

続く

前回の話/雑多な景色の中での決意

「キング アーサーのここだけの話」は毎月3の倍数日に更新!

最初の話/はじまりのはじまり

キング・カズと生年月日が一緒の1967年2月26日生まれ。外人は<アサタロー>と発音しにくいらしいので、海外では<アーサー>と名乗っていたら、親しい外人仲間が<キング・アーサー>とニックネームをつけてくれた。「アサタロウ」と日本で名乗ると「アソウ・タロウ?」と聞き間違いされることが多々ある。彼が幹事長のときは俺に<カンジチョー>のあだ名がつき、総理大臣になると<ソーリ>と呼ばれるようになったが、彼の総理大臣辞任後も俺の格下げはなく、いまでも<ソーリ>のあだ名は定着している。本業はコーディネーター。