LIFE,  TRIP

キング アーサーのここだけの話
変わらぬ景色が続く怠惰な世界

列車というのは不思議な空間だ。

客車にいれば、部屋にいるのと変わらず風景は変わらない。

 

窓の外は流れる写真のようでもある。

ときどき目をやれば、先ほどとはまったく変わっている。

埃っぽい町だと思っていたのに、次に窓へ目を向けると濃い緑のシャンングルへと変わっている。

また次に目を向ければ、緑は緑でも整然と並んだナツメヤシの畑。

ところどころにしか灯の灯らない暗闇の町だと思っていたのに、次に目を向けたときには金色に輝く穂をつけた水田。

 

車窓から見る景色が、驚くほどバラエティ豊かだった時代。

いまは世界中、街が似てきている。

部屋の外に飛び出ても、変わらぬ景色が続く怠惰な世界へと変貌しつつある。

 

前回の話/ひとりぼっちのナタリー

「キング アーサーのここだけの話」は毎月3の倍数日に更新!

最初の話/はじまりのはじまり

キング・カズと生年月日が一緒の1967年2月26日生まれ。外人は<アサタロー>と発音しにくいらしいので、海外では<アーサー>と名乗っていたら、親しい外人仲間が<キング・アーサー>とニックネームをつけてくれた。「アサタロウ」と日本で名乗ると「アソウ・タロウ?」と聞き間違いされることが多々ある。彼が幹事長のときは俺に<カンジチョー>のあだ名がつき、総理大臣になると<ソーリ>と呼ばれるようになったが、彼の総理大臣辞任後も俺の格下げはなく、いまでも<ソーリ>のあだ名は定着している。本業はコーディネーター。