LIFE,  TRIP

キング アーサーのここだけの話
気まずい雰囲気での解散

窓の外が殺風景になりだした。

もうすぐ大都市に着く。

 

といってもこのころのバンコクは、まだまだ発展の途上にあり、大きなビルは都市の中心部に少ししか見ることはなかった。

あれから3人とも口を聞いていない。

このあと余程のトラブルがない限り、数時間もすれば列車を降りる駅に到着する。

そのまま気まずい雰囲気で解散となるのか。

それとも重い空気を引きずったまま、数日ともに行動することになるのか。

どちらにしても、俺には耐えられない。

逃げ場所のないいまこそ会話を交わしておくべきだろう。

 

ミシミシと鳴るベンチシートから腰を上げ、俺はナタリーの向かいに座り直した。

ナタリーは外を眺めたまま。

眺めているんじゃない。

目標を定めず、空を見つめている。

 

前回の話/変わらぬ景色が続く怠惰な世界

「キング アーサーのここだけの話」は毎月3の倍数日に更新!

最初の話/はじまりのはじまり

キング・カズと生年月日が一緒の1967年2月26日生まれ。外人は<アサタロー>と発音しにくいらしいので、海外では<アーサー>と名乗っていたら、親しい外人仲間が<キング・アーサー>とニックネームをつけてくれた。「アサタロウ」と日本で名乗ると「アソウ・タロウ?」と聞き間違いされることが多々ある。彼が幹事長のときは俺に<カンジチョー>のあだ名がつき、総理大臣になると<ソーリ>と呼ばれるようになったが、彼の総理大臣辞任後も俺の格下げはなく、いまでも<ソーリ>のあだ名は定着している。本業はコーディネーター。