キング アーサーのここだけの話
気まずい雰囲気での解散
窓の外が殺風景になりだした。
もうすぐ大都市に着く。
といってもこのころのバンコクは、まだまだ発展の途上にあり、大きなビルは都市の中心部に少ししか見ることはなかった。
あれから3人とも口を聞いていない。
このあと余程のトラブルがない限り、数時間もすれば列車を降りる駅に到着する。
そのまま気まずい雰囲気で解散となるのか。
それとも重い空気を引きずったまま、数日ともに行動することになるのか。
どちらにしても、俺には耐えられない。
逃げ場所のないいまこそ会話を交わしておくべきだろう。
ミシミシと鳴るベンチシートから腰を上げ、俺はナタリーの向かいに座り直した。
ナタリーは外を眺めたまま。
眺めているんじゃない。
目標を定めず、空を見つめている。
前回の話/変わらぬ景色が続く怠惰な世界
「キング アーサーのここだけの話」は毎月3の倍数日に更新!