キング アーサーのここだけの話
水の都、バンコク
あの頃はゲリラ豪雨なんて言葉はなかった。
突然降り出す土砂降りもバンコクでは日常。
冠水した街に不自由はあるが、子供たちにとっては毎日短時間現れる遊び場だった。
豪雨で街が冠水するのも、水はけがいいのも、当時のバンコクには水路が張り巡らしてあった結果か。
道路は慢性化した交通渋滞。
乗車賃2バーツ、わずか10円の公共バスに乗っても、ルートによってはいつたどり着くかわからぬ状態。
しかもエアコンはなく、すべての窓は開け放っていても風が流れることはなく、蒸し暑い。
街には碁盤の目のように水路が張り巡らしてあり、そこを行き交う水上タクシーと呼ばれたロングテールボートの乗車賃は気持ち割高な3バーツ。
水路は道路のような輻射熱はないので涼しく、大好きな便利な交通手段だった。
シンさんは狭いロングテールボートにギターとバックパックを詰め込み込んだ。
バンランプーからファランポーンまでは水上タクシーでの移動。
ファランポーンからチャイナタウンを抜け、ジュライホテルまで二人でゆっくりと歩いた。
続く