キング アーサーのここだけの話
生ぬるそうなコーク
3畳間にも満たない高床式のバンガロー小屋。
曲がったヤシの木で組まれた柱、床材。
壁と屋根はヤシの葉を編んだ材料なのでいくらか雨風を凌げるが、床は隙間だらけ。
天井から蚊帳がぶら下がり、ダブルベッドを覆う。
ベッドの上では虫を避けられるが、部屋の中では床の隙間から自由に行き来するハマダラ蚊が飛びまわっている。
とても小屋にいる気にはなれず、レセプションのあるバンガローの母屋へと向かう。
そこはバンガロー小屋よりも造りが簡素で、柱と屋根があるのみ。
同じくヤシの木で作られた柱に、屋根はヤシの葉。
床はなく、砂浜のまま。
壁もない。
屋根は広く、大きな日陰を作り、風通しがいい。
ここは客たちが集う憩いのロビーであり、レストランも兼ねていた。
シンさんはそこですでにくつろぎ、コークの飲んでいた。
ボトルに汗をかいていない生ぬるそうなコーク。
はじめはイヤだったが、それしかないとなれば我慢もできたし、2本3本と飲むうちに次第に慣れていった。
続く
次回の話/バンガローの交換図書館
前回の話/ビーチに建つバンガロー小屋
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