LIFE,  LOCAL

キング アーサーのここだけの話
高度な英語ができるかな?

シャワーを浴び終えると太陽はすでに一番高いところへ昇っていた。

レセプションにあるカフェへ向かうとシンさんとナタリー、そしてジュリーがいた。

「もう食べた?」俺が尋ねると、3人とも首を横に振った。

 

「みんなを待ってた」ジュリーが言うと、ケイトは喜んで3人の元に駆け寄った。

「帰りのチケット、変更しなきゃダメないんじゃないの」シンさんが俺に向かって言った。

 

確かにそうだ。

今夜というか、日付が変わった頃に出国予定だったから、フライト予約を変更しなきゃいけない。

 

「でも、変更ってできるのかな」俺が尋ねると、全員が知らないと首を横に振った。

「ここには電話がないから港のとこの街まで行って、公衆電話から問い合わせるしかないな」シンさんが言った。

 

「問い合わせなんて、高度な英語ができるかな?」俺は不安に駆られた。

「大丈夫よ」ナタリーは背中を押すような言葉をかけてくれた。

「いっぺんに2人の女の子を口説いちゃったくらい、アーサーの英語は上手よ」ケイトが笑いながら言った。

「確かにね」とジュリーも笑った。

 

続く

次回の話/上機嫌なナタリー

前回の話/それでも俺は自由だ

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最初の話/はじまりのはじまり

キング・カズと生年月日が一緒の1967年2月26日生まれ。外人は<アサタロー>と発音しにくいらしいので、海外では<アーサー>と名乗っていたら、親しい外人仲間が<キング・アーサー>とニックネームをつけてくれた。「アサタロウ」と日本で名乗ると「アソウ・タロウ?」と聞き間違いされることが多々ある。彼が幹事長のときは俺に<カンジチョー>のあだ名がつき、総理大臣になると<ソーリ>と呼ばれるようになったが、彼の総理大臣辞任後も俺の格下げはなく、いまでも<ソーリ>のあだ名は定着している。本業はコーディネーター。