LIFE,  TRIP

キング アーサーのここだけの話
生ぬるそうなコーク

3畳間にも満たない高床式のバンガロー小屋。

曲がったヤシの木で組まれた柱、床材。

壁と屋根はヤシの葉を編んだ材料なのでいくらか雨風を凌げるが、床は隙間だらけ。

天井から蚊帳がぶら下がり、ダブルベッドを覆う。

ベッドの上では虫を避けられるが、部屋の中では床の隙間から自由に行き来するハマダラ蚊が飛びまわっている。

 

とても小屋にいる気にはなれず、レセプションのあるバンガローの母屋へと向かう。

そこはバンガロー小屋よりも造りが簡素で、柱と屋根があるのみ。

同じくヤシの木で作られた柱に、屋根はヤシの葉。

床はなく、砂浜のまま。

壁もない。

屋根は広く、大きな日陰を作り、風通しがいい。

 

ここは客たちが集う憩いのロビーであり、レストランも兼ねていた。

シンさんはそこですでにくつろぎ、コークの飲んでいた。

 

ボトルに汗をかいていない生ぬるそうなコーク。

はじめはイヤだったが、それしかないとなれば我慢もできたし、2本3本と飲むうちに次第に慣れていった。

 

続く

次回の話/バンガローの交換図書館

前回の話/ビーチに建つバンガロー小屋

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最初の話/はじまりのはじまり

キング・カズと生年月日が一緒の1967年2月26日生まれ。外人は<アサタロー>と発音しにくいらしいので、海外では<アーサー>と名乗っていたら、親しい外人仲間が<キング・アーサー>とニックネームをつけてくれた。「アサタロウ」と日本で名乗ると「アソウ・タロウ?」と聞き間違いされることが多々ある。彼が幹事長のときは俺に<カンジチョー>のあだ名がつき、総理大臣になると<ソーリ>と呼ばれるようになったが、彼の総理大臣辞任後も俺の格下げはなく、いまでも<ソーリ>のあだ名は定着している。本業はコーディネーター。