キング アーサーのここだけの話
彼女の名前はナタリー
彼女は俺の目を覗き込みながら言った。
「それで、私はどの女優に似てるの?」
彼女の瞳に一瞬でやられた俺は、口から出そうになっている活きのいい心臓を飲み込んで答えた。
「マチルダ」
シンさんは笑ったが、「それって、子供じゃない」と彼女は頬を膨らませた。
確かにマチルダは子供だったが、彼女のどこかにその女優、ナタリー・ポートマンの面影があったのも事実。
この数年後、スターウォーズで演じるパドメとは本当によく似ていると、ファントム・メナスが公開になったときに思ったものだ。
頬を膨らませていた息を鼻から静かに抜くと、彼女は続けて言った。
「でもね、ひとつ間違いじゃないのはファーストネームがその女優と同じなの。私はナタリー」
「俺、アーサー」
「S・I・Nで、シン」
やっと名前を名乗り合うことができた。
「<SIN>・・・罪なんて名前をつけられちゃうなんて、あなたはママに嫌われてるの?」ナタリーは心配そうに言った。
「そうかもしれない。プロフェッショナルな殺し屋と仲良くしてるから」
シンさんとナタリーは吹き出して笑った。
ナタリーを先に見つけたのは俺なのに、後から来たシンさんに軽く抜き去られ、耐え難い後塵を浴びた気分だった。
続く
次回の話/空き部屋は絶対にある
前回の話/日本語を使うな
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