LIFE,  TRIP

キング アーサーのここだけの話
英語でなんて言う?

考えてみれば、日本にいたときですら女の子を口説いたことなんて、ほとんどなかった。

だから歯の浮くようなセリフも簡単には浮かんでこない。

たとえ浮かんだとしても、それを英語で言うとなると、日本語のセリフを頭の中で英単語で組み立て直していくという作業が必要になる。

果たしてそれは、英語として正しい表現なのか?

 

そもそもこういった場面での愛の表現は、<アイ・ラブ・ユー>なのか?

それって、ちょっと重くないか?

じゃあ<アイ・ライク・ユー>なのか?

それじゃあ軽やかすぎないか?

 

突き詰めれば、<付き合ってください>って、英語でなんて言えばいいんだ?

 

本当にナタリーを口説くとなると、シンさんの通訳が必要になりそうだ。

そんなことを考え、頭を抱えているとナタリーが急に声をあげた。

「ワァオ、ファンタスティック!」

 

紫に染まる朝の海を見ると1漕の小さな小さな舟が浮かんでいた。

パドルが見えるから手漕ぎだ。

黒い影が徐々に近づいてきて船艇がはっきりとわかった。

それは間違いなくシンさんだった。

 

続く

次回の話/マナー違反の適用外か?

前回の話/笑顔のステキな女の子

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最初の話/はじまりのはじまり

キング・カズと生年月日が一緒の1967年2月26日生まれ。外人は<アサタロー>と発音しにくいらしいので、海外では<アーサー>と名乗っていたら、親しい外人仲間が<キング・アーサー>とニックネームをつけてくれた。「アサタロウ」と日本で名乗ると「アソウ・タロウ?」と聞き間違いされることが多々ある。彼が幹事長のときは俺に<カンジチョー>のあだ名がつき、総理大臣になると<ソーリ>と呼ばれるようになったが、彼の総理大臣辞任後も俺の格下げはなく、いまでも<ソーリ>のあだ名は定着している。本業はコーディネーター。