キング アーサーのここだけの話
意味もわからずにいる俺
日本人すべてがクレイジーだと思われたくない。
俺の心を包む壁は繊細だったが、ついに本当のことを告白した。
「カットされてなかったかもしれない。俺が覚えてなかっただけだ」
ちょび髭の男、ナタリーとシンさんは打ち合わせでもしていたかのように、同時に両肩をあげて笑った。
「それ、俺にも」とちょび髭の男にオーダーした。
「すぐに日本に帰るんなら、やめといた方がいいじゃないか」シンさんは、立てた俺の人差し指を遮った。
「すぐには帰らない」俺は決断を口にした。
ちょび髭の男はまたダミ声で言った。
「エスタ・パ〜デル・マノ・プラ・ビ〜ダ・エルマ〜ノ!」
セリフを思い出せずにいた俺にナタリーが耳打ちしてくれた。
「シ・プラ・ビーダ!」
やっとのこと言えたセリフだが、相変わらずシーンを理解せず、その意味もわからずにいる俺だった。
続く
次回の話/虚栄心も羞恥心もなくなった俺
前回の話/映画を字幕で観ている
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