キング アーサーのここだけの話
アスタ・ラ・ビスタ・ベイビー
海面が股下くらいまでくると、シンさんはやっとスキンカヤックに乗り込んだ。
海は急にドン深になっているのか、すぐ先では手漕ぎボートに乗った漁師が夕まずめに投網で魚を追っている。
「じゃあ、行ってくるよ」とシンさんは言った。
「アスタ・ラ・ビスタ・ベイビー!」フネの上から漁師が手を振りながら、シンさんに向かって大声で叫んだ。
よく見ると、漁師は昨日スピードポンチを売っていたあのちょび髭の男だった。
「何語だ? 何言ってんのかまったく通じないよ。ねえ」俺は4人に向かって言った
ジュリーとケイト、ナタリーとシンさんは顔を見合わせた。
「さっきのはスペイン語だけど、本当にわからないの?」ケイトが不思議そうに言った。
「スペイン語圏が広いからって、誰もがスペイン語を理解できると思ったら大間違いだ」と俺は応えた。
「そうじゃなくて・・・」ナタリーが言った。
「これも有名なセリフだ」シンさんが続いた。
「またイージーライダー?」俺は聞き返した。
続く
次回の話/地獄で会おうぜ
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