珈琲をもう一杯 / 第二十話「深煎上等 その1」
お湯を注いだ時に細かい泡とともに粉がふっくらと盛り上がるのは豆が新鮮な証拠で焙煎したての豆は美味しい。 と、言われたりしていますが、ホントでしょうか。
珈琲豆は焙煎が進むにつれ豆の細胞組織内に空洞が出来その中に化学変化した成分や炭酸ガスが溜まっていきます。 浅煎りや中煎りだと細胞の壁はそれ程壊れずにガスや成分が空洞内に留まっていますが、深煎りになると細胞の壁は壊れたりしているのでそれらが漏れやすくなっています。
浅煎りや中煎りの場合は焙煎後1〜2週間経過したものでも(挽いて)淹れると空洞中からガスや成分が溶けだしてムクムクと膨らみます。 しかし深煎りの場合は細胞壁が壊れていたりして1週間も経過するとガスは抜けてしまいあまり膨らみません。
このことから一概に、膨らむ=新鮮 とは言えないような気がします。
次に 新鮮=美味しい か?
と問われれば、ここも難しい。
煎りたてが一番! と言うお店もあれば、いやいや煎ってから3日目が、なんの一週間経ったものが、
どっこい2週間経過したのが、と、このあたり珈琲屋さんでも意見がわかれるところです。
僕なんかは、あまりムクムク膨らむとガスが湯通りを邪魔して成分がちゃんと抽出出来ないんじゃないかと考えるので焙煎後1週間~2週間位経ったものが好みですね。 珈琲豆に熟成なんて言葉は使いたくありませんが、成分が酸素と馴染んだ方が美味しく感じます。 お店でも焙煎したての豆なんかは自分の出したい味にならなくてイライラする事もあります。
つづく
PS.
Kouさん! 深煎上等こんな感じで楽しんで下さい。